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〜See-Saw〜
“See-Saw”というユニット名をみて、あの「Swimmer」の“See-Saw”を浮かべた人は、いったいどれほどいただろうか。

若い世代にとってSee-Sawは、TVアニメーション『NOIR』や、『.hack//SIGN』を通して出逢った人がほとんどのはずだ。さらにいうなら、現在放映されている『機動戦士ガンダムSEED』のエンディングテーマを歌うSee-Sawを思い浮かべる人も多いかもしれない。事実、このエンディング曲「あんなに一緒だったのに」は、オリコンチャート初登場5位を記録するヒットになり、See-Sawの名が広く一般に浸透し始めていることを示す結果となった。

ところで「Swimmer」の“See-Saw”とは。それを知るには、今から10年、さらにそれ以上の時間を遡らなければならない。

梶浦由記が15歳の時のことだ。石川千亜紀の実姉がメンバーだった女子高生6人バンド“15 SAND(いちごさんど)”からSee-Sawは始まっている。結成当時まだメンバーではなかった梶浦が、その後キーボーディストとして加わり、さらに「ライブで一度歌ってみない?」という姉の誘いで、千亜紀がヴォーカルに参加したことでSee-Sawの母体は生まれた。ただこの「一度」は、結局、メンバーの大学卒業まで続くことになる。就職活動で一時活動は休止するが、メンバーの熱望によってバンド活動を再開。OLのかたわら、彼女たちは数多くのライブハウスやコンテストを経験する中でプロデビューの話も持ち上がってくるのだが、6人の方向性の違いから断念。そして1992年7月に行ったライブから梶浦、CHIAKI、それに西岡由紀子(ベース)の3人で“See-Saw”と名前も新たに本格的に活動をスタート。それからちょうど1年後の7月25日にリリースされたSee-Sawのデビューシングルが「Swimmer」だった。

遥か水平線の先にある“夢”に向って、がむしゃらに泳ぎだすスイマー。その姿に、彼女たちはこれからプロとして“夢”に泳ぎだす自分自身の姿を重ねていたようにも思えた。

「それまで合唱曲ばかり作っていたので、バンドっぽい曲を作ろう!と思って初めて書いたのが『Swimmer』だった。ヴォーカルの音域とか何も考えていないから、2オクターブちょっとあるし、おまけに転調までしてる(笑)。CHIAKIだから歌えた曲だと思う」

と梶浦は、あの頃をふり返る。この千亜紀の“声”にインスパイアされて曲が生まれてくるという事実は、今もあの頃とまったく変わっていない、とも話す。

「千亜紀が、私の作った曲を歌ってくれた瞬間の感動というか、何か素晴らしいものが生まれてくる時の感動にインスパイアされてる部分は大きい。あの声だったらこういうメロディってかっこいいだろうなと、どんどん世界が広がっていく。その感動が曲作りのエネルギーだし、原動力になっていると思うんです。それはすごく楽しい体験なんですよね。今でもそうですけど、千亜紀の声に惹かれて、その声のために曲を書くという感覚は、ずっと続いています」

1993年9月26日、「Swimmer」から始まるファーストアルバム『I HAVE A DREAM』をリリース。翌1994年4月に西岡が作家活動に専念するために脱退し、梶浦、CHIAKIの2人の“See-Saw”となった。そしてこの年の10月26日に発表したミニアルバム『See-Saw』では、ユニット名をタイトルにした意味さえ感じとれるような、等身大の彼女たちが表現された作品になっていた。当時、CHIAKIはこう話している。

「考えすぎのカブトを脱ぐことにしたんです。カブトは外敵から自分を守るけど、内側からも外に出られない。そうじゃなくて自分を楽にしてあげたいなって思った。音楽は娯楽なんだって、もっと楽に考えればいいんだと思ったら、ふと息がぬけて、自分たちが探してるものが少し見えてきた気がしたんです」

このスタンスは、彼女の“ソマリ”名義でのソロ活動後も、そして現在も変わっていないように思う。千亜紀はいう。

「私は、何かと力を入れてやると、あまりうまくいかないタチなんですよ(笑)。“今、See-Sawはいい状況ですね”と言われても、すごいなぁって客観的に眺めてる自分がいるぐらいの方が、私の場合はいいかなと思ってるんです。一生懸命歌おうとか思わずに、まじめにはやるけれど、それ以上は力まないで。もしSee-Sawが活動できない状況になってしまっても、また縁があったら、みたいな感じで。いい意味で気持ち的に抜いてる。それがいい方向に転がったような気がしています」

デビューから1年半、3人から2人になった“See-Saw”は、1995年2月1日のシングルを最後にそれぞれがソロ活動に入ることになる。何か今の2人を予感させるこのシングルのタイトルは、「また会えるから」だった。NEXT
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