 |
  |
 |
|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
|
   |
|
 |
|
CUBE JUICEの機械や音楽に情報を得た私は、再び本人に話を聞きたくなった。この作業を進めるに当たって、またしても私の知らないところで謎の力が働き、作業はまたしても困難を極めた。途方に暮れる私の元に、とある組織──私が思うに、私を妨害する力に対しての反体制力──から一報が入った。CUBE JUICEに許可された正式なジャーナリストがいることを知った私は、その人物A.D.O.氏の元に足を運んだ。後日、CUBE JUICEとのコンタクトに成功した私達は、とある雑居ビルに呼び出され、話を聞く事に成功した。
|
|
 |
 |
2002.4.24 マタチューケッツ大学 人類行動学研究学部 教授 |  |  |
|
 |
 |
|
“CUBE JUICE”という活動を始める前の、更に“音楽”というものを始める前の話から始めたいと思うわけで。僕は、機材を使って色んな音を混ぜたり逆回転したりして遊んでいるような“実験大好き人間”だったわけで。ビートルズの「ストロベリーフィールズフォーエバー」という楽曲に疑問を感じ、彼らが行った実験的なレコーディング方法に多大な影響を受けて育ったわけで。それからだんだん楽曲的な良さや曲創りに対する楽しさみたいなことが分かってきて、楽曲制作に取り組むようになったわけで。もちろんそれと平行して、実験的なことも続けてきたわけで。自分の曲をテレビのスピーカーから出してはそれを録音したり、何テイクも録音しては色々な加工をしてみたり。今も一人で音楽ができていることは、その実験、実験、また実験精神の賜物なんじゃないかな、と思っているわけで。
昔、無声の映像に音をつける仕事をしていたことがありまして。面白そうだな、ってすごく軽い気持ちで始めたんですが、意外とむずかしくて。それは膨大な量の曲から抜粋して映像にはめ込んでいく作業なわで。そこで気付いたのが、自分の感覚と人がもっている感覚は全然違う、という事だったわけで。この映像にこの音楽はぴったりだ、と自分では思っても、一般的に見るとそうでなかったりしたことがすごく多かったり。技術的な事以前に、常識的な考え方として画と音楽が合わない、と言われたわけで。例えば、自分の中で想像している“空”というものも、ほんとに抽象的で感覚的な“空”だから、ああいう映像として完全に決められたものとは違ってくるわけで。結局そのことが原因ですぐ辞めちゃったわけで。そういう経験をして、という事もありますが、自分の創る音楽に付随するもの全てにおいて関わっていきたい、と考えるようになったわけで。自分の作品のPVであったりジャケットであったり、その全ての要素が一つの音楽だと思うわけで。ただやっぱりイメージするものが抽象的なんで、それを音としては表現できますけど、今のところ画として表現できないので、デザイナーとの話し合いでよりイメージに近い状態で出していく、というやり方になっているわけで。いつかは、自分が持つイメージのまま音と一緒にリンクさせることができたらな、と思っているわけで。悲しいことに、ジャケットとか軽視されることが多いと思うんですよ、本当に。すごくいい音楽なのにジャケットなどで損している作品はいっぱいあるわけで。
それと、歌詞もすごく重要な要素なわけで。曲創りと同じように、最初イメージされたものから出てくる言葉であったりするわけで。歌詞って、言いたいことや伝えたいことを書くわけで。でも歌詞全体にそういう事を散りばめる必要はない、と思っているわけで。例えば‘君が好き’だったら‘君が好き’の一言でいいわけで。それ以上もそれ以下もないわけで。メインになる言葉をしっかり聴いてもらえれば、他の部分はメロディーに合わせて言葉で遊ぶとか、むしろどうでもいいと思っているわけで。その方が似たような表現をだらだらと並べているより、逆に伝わると思うわけで。だから、一番言いたいことは、とっておきのメロディーに乗せて歌うようにしているわけで。僕だけの考えかもしれないんですが、他のアーティストの楽曲でも、1曲として頭から最後まで歌詞を覚えられる歌ってそうないと思うわけで。異常にそこのワンフレーズが耳に残ったりすることがあるでしょ? それっていうのは、すごくよい言葉に素晴らしいメロディーが乗っかって、更にいいアレンジがされている、そういう部分が、頭や耳に残っていると思うわけで。僕はそういう事がやりたいわけで。必ずしもサビで言いたいことを言わなくても、本当に素晴らしい言葉とすごいメロディとすごいアレンジによって生まれるマジック、というか、それだけをやりたいだけなわけで。そして、あまり予定調和なことはしたくないわけで。ポップであることは大前提なんですが。絶対ここにキックは入らないとか、コード進行、場合によっては不協和音も全然OKなわけで。僕は昔からそういう創り方だったからあまり感じないんですが、 聴く人はちょっと毒がある、って感じるみたいですね。「ここがなければ普通のよくできたポップスなのに」とか言われるわけで。
そんなこんなで、4月24日に「Head Long」が発売されるわけで。この曲を制作する前後ぐらいの時期に一つ気付いたことがあるんですが、どうやら身の周りにある色んな物事や人の名前や顔を、色などで記憶しているみたいです。その感覚は音楽を創っていく時にも影響しているわけで。まず、曲を創る時にイメージを膨らませます。これは風景だけじゃなくて、色や質感などの感覚的なモノもあるわけで。そのイメージのバックで流れている音楽、自然に流れてくる音、鳴っているリズムとかをどんどんつなぎ合わせて一つの曲にするわけで。言ってみればサウンドトラックを創るようなもんなわけで。ただ大抵の場合、最初のイメージに各パーツを具体的に重ねていくにつれて、最終的な形は全く始めとは違ったモノになってしまうわけで。でも、今回の「Head Long」は、あくまでも最初のイメージを意識的に最後まで崩さずに創った楽曲なわけで。そういう感覚を持っていたことに気付いたからこそ、曲を創る過程を自分で認識することが出来るようになったわけで。「Head Long」でまずイメージしたものはグレーなわけで。それもメタリックで無機質な。無機質だけどあったかい、そんな感覚を保ちながら最後まで創ったわけで。夏の夕方ぐらいにプールに入っていて、いきなり空が灰色に染まって急に肌寒くなる、そんな時はプールの中の方があったかい、みたいなイメージ。歌詞の面では、最初のテーマとなったのが、少なからず人間だったら裏切られたりウソをつかれたりする中、手放しで信用できる人がいる事は本当に素晴らしい、ということでした。まあ、実際歌っている事は裏切られた時の絶望感なわけで。今回は自宅ではなく、スタジオに1ヶ月間こもって、独りで黙々とレコーディングしていて、軽い鬱状態になったわけで。今回のテーマにうってつけなロケーションだったな、と思うわけで。音的には、やたら早い四つ打ちキックがかなりポイントになっているわけで。ポップミュージックとして自分なりに消化して、自分のフィルターを通ったテクノを表現してみたので、面白くなったわけで。
「早いんだか遅いんだか分からない」ってよく言われるわけで。でも一番大事なのは、そんな要素を含めた全てのものをそぎ落としても、最後にいいメロディーが残っている、ということなわけで。だからあとは何をやってもいい、と思っているわけで。たぶん今回のシングル「Head Long」が最初ということで、こういう音楽性なんだ、みたいな見方をされると思うわけで。でも全くそうでもないわけで。自分の歴史として4月に曲が出る、というだけで、CUBE JUICEはこれからもずっと音楽を続けてどんどん変わっていくわけで。特定のジャンルとか、この人はこういう音楽だ、とまだ断定はできないわけで。まだまだ氷山の一角なわけで(笑)。
Text by A.D.O.
|
|
 |
|
 |
|
|
 |
(c) TGB DESIGN |
Copyright(c)2002 Victor Entertainment, Inc. All rights reserved. |
 |
 |
|
 |
|
 |