光を求めてこそ、人は人で在れるものなのかもしれない。ずっと心待ちにしてきたSUPER SOUL SONICSのアルバムが、いよいよ11月に発売を控え完成に向かっているところらしい。その予告編として、いちはやく資料として届けられた「love teenage」、「Peace music」、「revival」なる3曲を収録したパイロット盤を聴いている今、感じているのは彼らSSSがこれまでの地下潜伏期間に、ずっと“光”という名の出口を求めながら創作活動に勤しんでいたのではなかろうか、ということだ。
 そうした中、昨年11月にシングル「COSMIC RUNNI'N」を発表して以降、その後はライヴ活動を展開する一方で、今年2月にSSS専門ネットラジオ局【SUPER SOUL “i-Radio”SONICS】を期間限定で開局するというあらたな試みにも挑戦していた彼らが、今秋のアルバム・リリースを前に、前回大好評のうちに終了した【SUPER SOUL “i-Radio”SONICS】をここに復活させてくれた。前回同様オリジナル音源をフルコーラスで24時間オンエアするのはもちろん、同じく前回ある種異様なほどの盛り上がりを見せた本人たちが登場しての特別生放送も予定されているという。
 ちなみに、前回2回行われた生放送では進行状況とシンクロしながら、アーティスト・関係者・リスナーが三つ巴となって、驚異的スピードでBBSを大回転させた一幕もあり、結果的にテンションは上がりまくりで予定時間を大幅に越えて番組は拡大。そうした双方向性に溢れたフレキシブルな感覚は、従来のTV・ラジオではまず味わえないものであったし、既存メディアと違いwebの世界においては誰もが自由に情報発信者となることが出来る、ということも彼らは知らしめてくれた。しかも、放送コード等を含めた諸々の制限からも解放されているせいか、ギタリスト・JAKEこと川瀬昌知と、ヴォーカリスト・岸野義樹のパーソナリティぶりが実にのびのびとしていたのも、実に印象的だったのだ。
 こうして、自らの“音楽”を純粋にフリーなかたちで聴いてもらう場を再び作った彼らの判断は、とても素敵だと思う。【SUPER SOUL “i-Radio”SONICS】は先にも述べた通り「SSSの音源をフルコーラスで24時間」オンエアする局であるからして、ワンコーラスだけ流す、などというモノとは全く違う。(最もいくらネットを通して音楽に触れていても、本当に欲しいものはCDを買いに行くのが音楽ファン心理というものだが)
 加えて、このネットラジオではリアルタイムでオンエア中の曲名も明示されるため、これも実に親切なシステムだと思われる。昨年辺りやたらと声高に叫ばれていた“ブロードバンド”なるものの有効利用法というのは、きっとこういうことを言うのではなかろうか。
 当然、今回の【SUPER SOUL “i-Radio”SONICS】では、11月発売予定のアルバムに先駆けて、何曲かの楽曲がオンエアされることになるだろう。少しネタばらしをすれば、冒頭にあげた3曲に関してはどれも“光”という言葉が出てくる。そして、サウンド的にも前作にあたるサードアルバム『 S.U.N.』で繰り広げられていた唄を軸としたシンプルなサウンドメイク手法をさらに磨きこみ、伝えたいことを率直に放つかのような衒(てら)いのない表現が、聴く者の胸の内にじんわりと浸透してくるところがとても心地良い。聴けば聴くほど、アルバムに対する期待はつのるばかりだ。
 光を求めて歩いてきた彼らの辿り着いた、光さす場所。その全貌がアルバムというかたちで明らかになる秋になるまで、まずはこの空間【SUPER SOUL “i-Radio”SONICS】にて、彼らの創りだした音の渦に心ゆくまで浸かってみることをおすすめしたい。
[音楽ライター●杉江由紀]


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