BUCK-TICK
BUCK-TICK

NEWS
ニュース

2022.10.14

「BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv.」10/13 東京・立川ステージガーデン:ライブレポート

2022年9月21日にメジャーデビュー35周年を迎えたBUCK-TICKが、同日にリリースしたベストアルバム『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』を引っ提げた全国ツアー「BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv.」を、10月13日東京・立川ステージガーデンよりスタートさせた。

BUCK-TICKの周年ライブを振り返ると、20周年、25周年はそれぞれBUCK-TICKトリビュートアルバムに参加したアーティスト達とフェス形式で賑やかに、30周年は東京・お台場の特設ステージで2日間のセットリストをガラリと変え、30年の活動を網羅する単独公演を行なった。そして35周年記念公演は、今年9月23日・24日に神奈川・横浜アリーナで開催したばかり。祝祭ムード満載のそれまでの周年ライブとは一線を画し、過去を懐かしむというよりも今伝えるべきメッセージをピックアップしたセットリストと、その世界観を演出するためには演奏するメンバーの姿すら覆ってしまうような大胆な映像使いで、オーディエンスを圧倒した。

BUCK-TICKとはつくづく稀有なバンドである。
35周年公演に向けて、新宿と渋谷の駅周辺に巨大なポスターが設置された。デビュー当時のアーティスト写真と、それと同じ配置の現在のメンバーの写真が並んだそのポスターを見て、会社帰りのサラリーマンの集団が足を止めるのを見た。「お~、懐かしい」「BUCK-TICK?…って知ってますか?」「おお。昔はヴィジュアル系だったけどな」。上司と部下だろうか、そんなやり取りを耳にした。ファンからすると“いろいろと間違っている”と思うだろうし、そうじゃない人からするとこのやり取りがすべてなのだろうと思う。しかし、BUCK-TICKが35年間ブレることなく自分たちの音楽を突き詰め進化し続けていること、ほぼ毎年日本武道館でコンサートを行なっていること、革新的なサウンドと孤高のスタイルで後続のバンドに大きな影響を与えてきたこと、そして今なお幅広い層に“発見”されては取り込んできていることも確固たる事実。そんなバンドはなかなかいない。一方で、ボーカルの櫻井敦司が“ 35周年にして初”のラジオパーソナリティを務めるというニュース(FM COCOLO毎週金曜日21:00より 10~12月末まで)で、ファンをざわつかせたりもした。そんな箱入りバンドもなかなかいないだろう。

コロナ禍での配信ライブやフィルムコンサートツアーなどを経て、全21公演という全国規模でのホールツアーを開催するのは約3年ぶり。迎えたツアー初日は、初日ならではの緊張感を湛えながらも、キャラクターの濃い楽曲群を、笑う時は笑い、泣く時は泣く、そんな表情豊かなバンドアンサンブルと、指先から爪先まで全身で表現する歌で丁寧に紡いでいった。【RIBELO】【GOTIKA】【ELEKTRIZO】【FANTAZIO】【ESPERO】という5つのコンセプトでこれまでの楽曲を線ではなく、面で見せたベストアルバム『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』を中心に組まれたメニューは、時代を超えた2曲が繋がることで新しいストーリーが生まれるような流れがあったり、久々に演奏された楽曲があったりと、新鮮であった。また、ステージいっぱいに広がるプロジェクションマッピングも、先の横浜アリーナ公演とはまた違った演出で各曲の世界観を色付けていた。「早くラブとピースを一緒に叫びたいですね」という櫻井のMCから披露されたのは、ベストアルバムに収録された新曲「さよならシェルター」。今の世界情勢へ向けた静かな、しかし強い怒りを、優しいメロディに乗せたこの歌を、願いを込めるように柔らかな歌声で歌うシーンは、このツアーのハイライトの一つと言えるだろう。

「いつまで続くかわかりませんが、パレードはいつまでも続きます」──櫻井

“パレード”とはBUCK-TICKの軌跡を表現する、周年ライブで必ず冠してきた言葉。一瞬矛盾しているかのようにも聞こえるメッセージだが、“BUCK-TICKという名のパレードを最後までやり遂げる”という思いをその中に感じ取った。だけど、いつくるかわからない最後を先走って寂しがるのはまだまだ早い。ここから軽快に出発した“B-T TRAIN”は、乗り合う人の愛を燃料にして賑やかに音を鳴らしながら、誰も置き去りにすることなく、終着点の12月29日(木)東京・日本武道館「BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv. FINALO in Budokan」公演まで爆走するのだろう。その後には、ニューアルバムという新たなスタートが、新たな希望が待っている。

Text:大窪由香

-----------------














Photo:田中聖太郎

SHARE マイアーティスト
メール登録

DISCOGRAPHY ディスコグラフィー

NEWS ニュース

VIDEO ビデオ