坂本 真綾
Maaya Sakamoto

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2026.03.13

NEWデビュー30周年記念 初のチャリティーCD「花は咲く」レビュー

チャリティーCD「花は咲く」レビュー

2011年3月11日の東日本大震災の後、NHKが復興支援プロジェクト「NHK東日本大震災プロジェクト」のテーマソングとして企画制作したのが「花は咲く」。作詞は宮城県仙台市出身の映画監督・岩井俊二、作曲・編曲は同じく宮城県仙台市出身の菅野よう子が手掛け、被災地にゆかりのある34組の歌手や俳優、スポーツ選手がリレー形式で歌唱する形で2012年の3月に発表されたものである。

「花は咲く」は震災後の数年間にNHKでは番組の合間に何度も放送され、数多くの著名人やアーティストがカバーし、フィギュアスケーターの羽生結弦がこの曲と共に演技を披露したり、NHK紅白歌合戦でも何度も歌唱されるなど、大きな広がりを見せた。今や「花は咲く」は単なる復興支援ソングという枠を超え、多くの日本人の心に寄り添い続けている特別な1曲である。

この「花は咲く」を、デビュー30周年を迎えた坂本真綾が歌唱し、アニバーサリーライブの会場でチャリティーCDとして販売する。歌とピアノを中心としたシンプルな編成でレコーデイングされたそうだが、ピアノ伴奏は菅野よう子。この曲の作・編曲者であり、坂本が16歳でデビューした当時の音楽プロデューサーである。もう想像するまでもなく、期待しかない組み合わせ。

音源の感想の前に、坂本真綾とチャリティーについても触れておきたい。彼女はファーストライブの時から会場(とWEB通販)でチャリティーポストカードを販売しており、その売り上げを日本赤十字社に寄付している。加えて毎年、自身の誕生日である3月31日から1ヶ月の期間限定でチャリティー壁紙と待受を販売し、そちらも売上金を全額、日本赤十字社に寄付している。昨年の3月13日にオフィシャルサイトで公開された「チャリティー壁紙2025のご案内」という彼女が書いた文章が好きで、私は何度も読んだ。

その文章には、この取り組みを始めたきっかけとして、自身の誕生日の時期にファンの方から多くの贈り物が届く背景があったと書かれている。「そのひとつひとつに想いが込められていて、嬉しく、あたたかい気持ちになりました。ですが反面、そのたびに感じていた言葉にするのが難しい気持ち…いただき過ぎているという申し訳ない気持ちがありました」と。この辺りが謙虚な彼女らしいなと思うのだけれど、普段からファンの方にCDやチケットを買っていただいているのにプレゼントまで当たり前のように受け取り続けていいのか、という葛藤があったようだ。

そこでチャリティー壁紙・待受を販売することで「大好きな真綾さんにプレゼントを贈りたい」というファンの想いが形を変えて、また誰かのためになるという素晴らしい循環が生まれたのである。その文章の後半、「今ではこの時期になっても事務所に大量のプレゼントが届くことはありません!」と彼女は誇らしそうに綴っている。アーティストの想いをファンが理解し、共鳴し、行動することで互いに笑顔になれるって、本当に素敵なこと。音楽活動を通じて自分が何かを発信しファンからの応援を受け取るだけでなく、その先にいる見えない誰かのために思考を巡らせて動けるのが、坂本真綾という人なんだと思う。こうした人間力が30年という長い活動を続けてきた彼女の魅力のひとつだ。

ピアノのイントロが柔らかく繊細に、雪解けの春を思わせるような懐かしい情景を運んでくる。菅野よう子が生み落とした飾らない素直なメロディに、坂本真綾の優しくて透明感溢れる声がなめらかに乗った。「花は咲く」という多くの人の心の名曲に、新しい光がそっと灯ったような感覚がした。

東日本大震災から今年で15年。あの時、私たちは大自然の脅威に戸惑い、悲しみ、多くの命や街や思い出を奪われてしまったけれど。それでも「花は咲く」という、これもまた自然の摂理に希望と祈りを抱きながら日々を過ごしてきた。岩井氏が震災で亡くなった人たちの想いを想像しながら書いたという歌詞は、<いつか生まれる君に>という次世代への希望を託しながら<わたしは何を残しただろう>と問いかけている。

この歌を今、再び坂本真綾の歌唱によって耳にするとき、あなたは何を思うだろう。あの時に感じていたこと、そこから繋がっている今が、胸の内側から、じんわりと浮かび上がってくるような「花は咲く」に仕上がっている。

菅野よう子に導かれてのキャリアの始まり、そして坂本真綾が30周年を迎えた今もなお歌い続けているからこそ生まれた今回のコラボレーション。東日本大震災という出来事を忘れないように、そしてまた前を向いて歩き出せるように、淡い光を手のひらに持たせてくれるような「花は咲く」が届けられた。

私たちが生きているなかで花の種のように残していけるのは、何も目に見えるものだけではない。この曲が坂本真綾の30周年アニバーサリーライブの会場でチャリティーCDとして販売され、その売り上げから収益金の全額が日本赤十字社に寄付されることで、また新たな優しい循環となっていく。その先に咲く笑顔に想いを馳せて。

review 上野三樹


チャリティーポストカード / チャリティーCD「花は咲く」



2026年4月18日(土)・19日(日)有明アリーナで販売
※販売開始時間など詳細は改めてお知らせします。
※後日、WEB通販を予定しています。

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