2026.04.29
NEW“Lucy Show 003 ~Shout, Speed, Shake Your Rockarollica~“ 初日の模様をレポート!
20年ぶりに再始動したLucyが、ニューアルバム『ROCKAROLLICA Ⅲ』を携え、全国ツアー〈Lucy Show 003 ~Shout, Speed, Shake Your Rockarollica~〉を開催。4月26日、神奈川・SUPERNOVA KAWASAKIにて、待望の初日公演が行なわれた。
20年熟成させた酒は、芳醇で香り高く、丸みのある穏やかな味わいだという。はたして同じ歳月を経たLucyは、熟成されてまろやかになったのか、それともさらに鋭利に尖り続けているのか。その答えを真っ先に体感しようと集まった観客の熱気は高く、客電が落ちた瞬間の歓声とともに、オールスタンディングのフロアは前方へとギュッと圧縮された。
ライブのSEとしておなじみのドリス・デイ「ケ・セラ・セラ」が流れると、会場には一斉にクラップが鳴り響く。20年前を知るファンはもちろん、事前に配信された過去映像でライブの雰囲気をしっかりと予習していた新しい観客も、ためらいなくその輪に加わっていく。やがて、揃ってサングラスを装着した今井寿(Gt.・Vo.)、Kiyoshi(Gt・Vo.)、岡崎達成(Dr・Vo.)の3人と、黒を基調とした衣装をまとったサポートメンバーの小栗秋(Ba)、横山和俊(Manipulator)がステージに登場。岡崎をセンターに、見事なシンメトリーのフォーメーションを組んだ。「ケ・セラ・セラ」が終わると、1曲目のイントロを奏でる今井のギターが鳴り始めるのだが、そこへKiyoshiのギターと岡崎のドラムが重なった瞬間の、身体を貫くような爆音に思わず身をすくめてしまった。フロアの最後方にいてこの破壊力なのだから、期待ではちきれそうになっていた観客の心に火がつかないはずがない。会場のボルテージは、開始早々に最高潮へと達した。
ツアーが始まったばかりのため詳細な構成は伏せるが、セットリストは最新作『ROCKAROLLICA Ⅲ』の楽曲を網羅しつつ、旧作の楽曲も今のLucyサウンドへと鮮やかにアップデートされていた。その核にあるのは、今井とKiyoshiのツインギターだ。空間全体をデザインするように音を広げる今井と、色気のあるプレイで音の輪郭を際立たせるKiyoshi。タイプの異なる2人のギターが、時に絡み合い、時にせめぎ合いながら、グルーヴを生み出していく。そのコントラストは、攻撃的でエネルギッシュなKiyoshi作曲の「PUNK THE LUCY」と、全体的にルーズで浮遊感のある今井作曲の「からっぽの宇宙.」と、MVも制作された2曲にも象徴されていた。
互いに「ギター、今井寿」「ギター、Kiyoshi」とは紹介するものの、そこに“ヴォーカル”と入らないのもLucyのスタンスで、ギタリストならではの荒削りなヴォーカルが高揚感を煽っていく。今井が伸びやかでいてラフな歌い回しをする「月光ブギ」や、ハスキートーンのKiyoshiが抑え気味のヴォーカルで狂気や儚さを歌う「ヒツジの夢」など、楽曲によって異なる表情を見せるところも印象深かった。
さらにフロアを激しく揺らしたのは、岡崎のソリッドなビートだ。ストレートで勢いのあるドラムを軸に、3人でヴォーカルをとる「かっちゃんコーリング」はハイライトのひとつ。阿波踊りのような手の動きで踊る今井の動きに合わせ、フロアも一体となって踊った。荒野にいるような乾いたスネアの音や、馬が跳ねるようなリズムを鳴らす「犬とカウボーイ」では、「Yee-Haw!」という巻き舌のシャウトを入れるなど、一挙手一投足から目が離せない。
この3ピースの骨太なサウンドに、絶妙な厚みと色彩を加えたのが、小栗のベースと横山のマニピュレーションだ。“動”のギタリストたちに対して、“静”のポジションで低音を支え、Lucyの“ロケン”をよりダイナミックに聴かせた小栗。Kiyoshiから「コンピュータ!」と紹介を受けた横山が放つエレクトロサウンドは、有機的にバンドサウンドを彩っていた。時に赤いタンバリンでフロアを盛り上げる姿も印象に残っている。
「Lucy Showへようこそ。待ったか?20年ぶりだからな。20年前のお客さんも、新しいお客さんも、耳の穴かっぽじって、頭からっぽにして盛り上がろうぜ」──Kiyoshi
アンコールではカヴァー曲も披露し、ハイテンションの中で初日公演は終了した。目の前で生演奏を観ることで、それぞれが放つサウンドに対する解像度が高まったことは間違いないのだが、即興的なギターソロの絡みなども含め、アルバムの楽曲はツアーを経てさらなる進化を遂げるだろう。
ツアーは、5月24日(日)東京・EX THEATER ROPPONGIまで各地を巡る。観客の歓声と熱気を受けながら、Lucyはまだまだ熟成を続けることだろう。回を重ねるごとにその味わいは変化し、ファイナルを迎える頃にはどんな美酒に仕上がっているだろうか。ぜひ味わいに来てほしい。
TEXT:大窪由香
撮影:TSUCHIDA HIROSHI