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2022.10.13

The Ravens『ANTHEMICS』Track By Track_10

The Ravens『ANTHEMICS』Track By Track_10

M10. Firefly

<この季節が終わる様に 塗り替わるとして/この世界はどんな風に 映るのだろう/そう考えたら 僕らが抱えた日常も/革命前夜と呼べるかな>というリリックに象徴されているように、バンドマンとして両翼をもがれてしまったかのようなコロナ禍の暗闇の中での複雑な心情と、それでもその先に光を求め、手を伸ばしていく意志が音楽的に落とし込まれている楽曲。焦燥感をはらみつつも前へ前へと進んでいくエネルギッシュなバンドサウンドに加え、随所で印象的に聴こえてくるシンセストリングスの生命が一斉に芽吹いていくような響きが、明日への始まりを誓う曲としてのこの曲を表しているように思う。

Kj「これもまだ先行きが不安な時に書いてた曲で。それこそ社会に取り残されたような感覚があった――他はどんどん大丈夫になるけど俺は何やってんだろ、エネルギーはあるのにな、みたいなもどかしさを抱えてた時に作った曲。ほんとはもっとアッパーな曲も作ってサクがドラム入れるところまで行ってたんだけど、それは(内容が)ちょっと重過ぎるというか、人を喜ばせたいんだか自分が憂さ晴らししたいんだかよくわからない曲になってる気がしてやめて、間を取ってこの曲に落ち着いたんだけど。この曲に関しては、向こうに渡ろうとしてる意志は聴こえてくるから。で、ストリングスに関しては、『自分の入れるピアノに合うようにストリングスを入れてくれ』ってシュンちゃんに頼んで入れてもらった。あれヤバいよね、マジカッコいいよね」

渡辺「どうしてこうなったんだっけな? 自然にこうなっちゃった感じなんだけど(笑)」

Kj「シュンちゃんはアカデミックな人なんだけど、自分では音楽を論理的に当てはめたりはしない、あくまで感覚でやっている感じなんだよね。それがちょっと不思議なんだけど」

渡辺「鍵盤を弾いてるとコードとか見えちゃって、そっちで考えがちなんで、なるべく耳で考えるようにはしてて」

■ロジックを知ってるからこそ、ロジックに囚われないようにしたい、と。

渡辺「そうですね、両方使えたらいいかな、感覚とロジックと。でもこのストリングスも建志くんに言われなかったらたぶん出てこなかったものだから、そういうのも面白かったですね」



有泉智子(MUSICA編集長)


The Ravens『ANTHEMICS』

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