ホセ・コランジェロ四重奏団/Cuarteto Colangelo
タンゴの現代と伝統

2003.02.05
アルバム / VICP-62183~4
¥4,400(税込)
Victor
タンゴの栄光を受け継ぐホセ・コランジェロ (p) が初めて結成した自己のクアルテートによる名盤3枚をCD化(1st~3rd アルバム)。
#1-CD
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01
トラスノーチェ(夜ふかし) Trasnoche Trasnoche
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02
マリポシータ(蝶々) Mariposita Mariposita
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03
わかったろう Te das cuenta? Te das cuenta?
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04
靴音高く(タコネアンド) Taconeando Taconeando
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05
レスポンソ(冥福の祈り) Responso Responso
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06
アクトゥアル Actual Actual
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07
コントラバヘアンド Contrabajeando Contrabajeando
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08
グリセータ Griseta Griseta
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09
デル・バホ・フォンド Del bajo fondo Del bajo fondo
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10
セロとりで Fortin Cero Fortin Cero
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11
ロマンティコ・ボヘミオ Romantico bohemio Romantico bohemio
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12
ラ・ジュンバ La yumba La yumba
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13
エクスプレシーボ(表現豊かに) Expresivo Expresivo
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14
メランコリコ Melancolico Melancolico
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15
センシブレロ(多情多感) Sensiblero Sensiblero
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16
パジャドーラ Payadora Payadora
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17
不協和音 Disonante Disonante
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18
プラサ気取り Plazeando Plazeando
#2-CD
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01
テンペラメンタル Temperamental Temperamental
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02
踊り手 Danzarin Danzarin
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03
ブエノス・アイレス-東京 Buenos Aires-Tokio Buenos Aires-Tokio
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04
夜のミロンガ Nocturna Nocturna
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05
荘重に Solemne Solemne
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06
ノスタルヒコ Nostalgico Nostalgico
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07
ティエリータ Tierrita
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08
ラ・ボルドーナ La bordona
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09
ラ・バランダ La baranda
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10
クリオージョの誇り Orgullo criollo
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11
タンゴのロマンス Romance de tango
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12
心のすべて Todo corazon
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13
ラ・カチーラ La cachila
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14
ボエミアの想い出 Recuerdos de bohemia
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15
ドン・アグスティン・バルディ Don Agustin Bardi
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16
夢のすべて Todos los suenos
解説:西村秀人
【タンゴの栄光を受け継ぐホセ・コランジェロ】
ピアニスト、ホセ・レオナルド・コランジェロ(1940年生まれ)の経歴は華やかである。15歳の時からタンゴのピアニストとして活動を始め、アンヘル・ヘンタ、ロレンソ・バルベロ、アンヘル・ドミンゲス、エンリケ・アレッシオなどの楽団を経て、 1961年から当時最高の人気を誇った歌手フリオ・ソーサの伴奏を務めていたレオポルド・フェデリコ楽団に参加。さらに1968年からは現在も古き良きタンゴの象徴として輝き続けるバンドネオン奏者、アニバル・トロイロの楽団及び四重奏団に参加。低音を効かせたそのスタイルからトロイロに「68年のゴニ」(ゴニはトロイロ楽団創設時のピアニストで、後進に大きな影響を与えたオルランド・ゴニのこと)と呼ばれ可愛がられた。トロイロ楽団在団時の72年に自己の四重奏団を結成、シャープな音楽性と技巧的な演奏が反響を呼ぶ。その後もさまざまなグループで活動、1980年代半ばに名門タンゴ・スポット「エル・ビエホ・アルマセン」にオルケスタを率いて出演、その編成で日本公演も行い、以降度々日本を訪れている。
■ホセ・コランジェロ四重奏団
1960年代後半から1970年代中頃までアルゼンチンは政治的に大きく動揺し、タンゴ界にも少なからず変化が訪れた時代でもあった。1955年のペロン政権崩壊以降、アルゼンチン経済は下降線をたどり、オルケスタ・ティピカ編成の維持は難しくなり、小編成によるタンゴ演奏の試みが盛んとなる。その中でエストレージャス・デ・ブエノスアイレス、キンテート・レアル、パケ・バイレン・ロス・ムチャーチョス、バッファ=ベリンジェリ・トリオなどの優れた小編成グループが注目を集めてきた。1972年から数年間活動したコランジェロの四重奏団もその流れに属するものであり、その後コランジェロは編成を拡大して演奏活動を続けているが、彼の音楽性の根本はすべてこの四重奏団にあるといっても過言ではない。
ピアノはもちろん編曲もホセ・コランジェロ本人によるもので、バンドネオンは現代の最高峰の一人であり、当時はエンリケ・フランチーニ六重奏団に参加、前衛的なバングアトリオの活動でも注目を浴びていたネストル・マルコーニ、ギターは現在も市立タンゴ楽団やオスバルド・モンテスとのコンビで活躍中のアニバル・アリアス(彼は通常アコースティック・ギターを演奏するが、この四重奏団ではアンプを通したギターを使用)、コントラバスはキンテート・レアルなどで活躍し惜しくも先年世を去ったオマール・ムルタ、いくつかの曲目にはオスバルド・プグリエーセ楽団などでの活動で知られるエンリケ・キケ・ラノーのチェロが参加している。
この四重奏団はトノディスク・レーベルに4枚のLPを残しており、ここにはそのうち最初の3枚分が収められている。最初のアルバムは1972年の "Trasnoche"、2枚目は 翌年の "La musica de Julian Plaza" で、いずれも1975年に「トラスノーチェ」「ブエノスアイレス~東京/フリアン・プラサの世界」としてビクターから日本発売されていた。3枚目は74年の "Cuarteto Colangelo Vol.III" で、日本未発売だったが今回ビクターにマスターテープがあることが判明し、合わせてCD化することができた。現在トノディスク・レーベルは休業状態であり、今後もアルゼンチンでこれらの音源がCD化される可能性は少なく、この復刻はタンゴ・ファンにとって貴重なものとなるだろう。