トリオ・コンテンポラネオ Trio Contemporaneo
新しい表現~アディオス・ノニーノ Nueva Expresion

2003.02.05
アルバム / VICP-62185
¥2,640(税込)
Victor
早逝した気鋭のバンドネオン奏者/編曲者ドミンゴ・モーレス率いる充実したトリオによる現代タンゴの意欲作(3rd Album)初CD化!
世界初CD化 1973年作品
-
01
ミミ・ピンソン Mimi Pinzon Mimi Pinzon
-
02
最後の逢引き La ultima cita La ultima cita
-
03
アディオス・ノニーノ Adios Nonino Adios Nonino
-
04
アムラード(見捨てられて) Amurado Amurado
-
05
ピアンタータ Piantata Piantata
-
06
メランコリコ Melancolico Melancolico
-
07
ラ・カチーラ La cachila La cachila
-
08
カルミン(えんじ) Carmin Carmin
-
09
トリウンファル(勝利) Triunfal Triunfal
-
10
モレーナ Morena Morena
-
11
新しい幻想 Nueva expresion Nueva expresion
-
12
懐かしき家 La casita de mis viejos La casita de mis viejos
解説:西村秀人
【トリオ編成による現代タンゴの意欲作】
トリオ・コンテンポラネオは「コンテンポラリー・トリオ」というその名の通り、シンプルでありながらも、新しいタンゴの演奏手法を目指した、1970年代タンゴ界の最も優れたグループの一つである。結成は1969年、バンドネオンのドミンゴ・モーレスを中心に、マリオ・マルサン(ピアノ)、エドゥアルド・マセッティ(エレキ・ベース)の3人でスタート、ファースト・アルバム "Tango" (Trova TLM-32)を発表、翌年ピアノがフアン・ カルロス・スニーニに交替、"Tiempo de Gardel" (Trova MXT-40001、日本でも1975年にビクター SJET-8383「 タンゴの新しい波/トリオ・コンテンポラネオ」として発売)を発表、歌手カルロス・ガルデルのレパートリーを大胆にアレンジし話題となった。その後1973年にモーレス、ジャズの分野でも活躍したウリセス・ゴニ(ピアノ)、アルフレド・ベジョーモ(エレキ・ベース)というメンバーで発表したのがこのCDの作品 "Nueva Expresion"(Trova MXT-40014、1975年にビクター SWX-7069 「アディオス・ノニーノ」として発売)である。
バンドネオン、ピアノ、ベースという楽器編成は、1950年代からセサル・サニョーリ・トリオ、ロス・モデルノス、トリオ・ジュンバ、バッファ=ベリンジェリ・トリオ、バングアトリオなど多くのグループによって試みられ、タンゴにおけるグループ表現の最小単位として、また個々人の技巧的な演奏を発揮させるのに最適のフォーマットとなってきた。トリオ・コンテンポラネオの場合、コントラバスではなくエレキ・ベースを採用することで、全体の流れや細かいリズム感に独自の色を生み出し、バンドネオンやピアノの表現もテクニックのひけらかしに終始しないようバランス良く構成され、なおかつ現代性を失っていない点で優れている。
このアルバムは結局このトリオの最後のアルバムとなり、その後ドミンゴ・モーレスはトリオを離れた活動を中心に置き(モーレスの代わりにフリオ・パネが参加したこともあったが、短期間に終わったようだ)、1974年、80年にタンゴ・オールスターズのメンバーとして来日、81年にはトリオ・コンテンポラネオとして来日したが、その後はバラエティに富んだ編成で活動を続け、86年にはブエノスアイレス5という自己のキンテートで来日公演を行ったが、1992年、47歳の若さで病気のため急逝した。 トリオ・コンテンポラネオの音楽には、円熟期を迎える前に天に召されてしまったドミンゴ・モーレスの若さとアイディアがあふれている。