利夫が記事を書いた理由は、自分が書いた記事によって修治を戻って来させたいという“記者魂”からだった。だがそれがどれだけ芳枝親子に酷い仕打ちになったかを悟り、利夫は芳枝に頭を下げる。「私たち親子をそっとしておいてほしかった」と、心情をぶつけた芳枝は、ずっと夫の帰りを信じており、そして、信じ続けることが幸せだと心の奥を見せた。かいま見たその強さと愛の深さに、利夫は胸を突かれる。
その頃、とある工事現場には、働く修治の姿があった。修治は、ツヨシの写っている数日前の新聞を見つける。写真を震える指でなぞり、苦悶の涙を流す修治‥。
今や記者としてではなく、ひとりの人間として、利夫は、母子のために動き出す。たとえ一晩だけでも、修治と母子の暖かな夜を作ってあげたい‥。
記事が出て以来、修治が戻る可能性を考え、尾崎家近辺は安藤刑事(宇崎竜童)らに張り込まれていた。安藤刑事との心理戦を戦いながら、利夫は、修治の居場所に繋がる糸口を見いだし、彼を家族へと戻すべく、奔走する。
果たして、ツヨシが見上げる屋根に、あの風車が春の風を受けて回る日は、来るのだろうか? |