INTERVIEW

Special Interview Vol.2 4/4

--AOKI takamasaさんとコラボした「Ame(B)-SAKANATRIBE×ATM version-」の話をお訊きします。これはどういう経緯で?

「ツアーでやった音源なんですけど、それを収録しようと。ただあれはあれでツアーで完成してるし、ライヴ用のミックスになってるから、音源化するのは再ミックスが必要だという話になったんです。でも僕らはもうやり過ぎてて。ライヴでさんざん触ってきた曲だから。なので第三者に入ってきてもらって、リミックスじゃないけど一緒に作っていく時間が必要なんじゃないかと。その時の適任者として、AOKIさんは距離も近いし、ライヴも見てもらってたんで、入ってもらったんです。でもご存じの通りAOKIさんはすごいテクノの人だから、ああいう派手な部分がある曲はやりにくいだろうなって思ったんですね。だからAOKIさんらしく、この曲に対して思ってることを言ってもらって、やりとりしながら作るって方向にもっていったんです。そうしたらAOKIさん曰く、今回のリミックスは、ライヴでやってたダイナミクスよりも全然抑えたけれども、長く聴いてもらえるようなミックスにしたと。だから、派手さはないけどちゃんと踊れるグルーヴになってるはずって言ってましたね。僕も実際聴いてそう思った。ただマスタリングに関しては、AOKIさんはもっとダンスフロア向けにしたかったみたいだけど、どこで聴いても通じるようなものにしたいということで納得してもらいました」

--前の2曲と全然音の鳴りが違いますね。

「いきなり変わりますよね(笑)。あれいいすよね。めちゃくちゃいい」

--すごい低域が入ってる。

「あれ、高校生とかでも感じますよね?ヘッドホンで聴いてたら」

--わかると思います。

「それがすごい大事だと思いますね。すごくライヴ感ありますもんね」

--で「ミュージック」のコーネリアス・リミックスです。これはどういう経緯で?

「ずっと前から、いつかお願いしたいと思ってたんですよ。タイミングを見計らってたんですけど、今回は勝負したいシングルだったんで、自分たちがお願いしたい人で、名前があって…わかりやすい人がいいなと思った時に、このタイミングで小山田さんかなと思ったんです。あと、TAICOCLUBで一緒になったんですよ。小山田さんは(高橋)幸宏さんのバンド(YUKIHIRO TAKAHASHI & META FIVE )で来てらして。その時小山田さんの息子さんに紹介されて。”息子がサカナクションのファンなんだよ”って。その時に”今だったら受けてくれるかも”(笑)。このタイミングで頼むしかないなって。で、小山田さんの好きな曲で、とお願いしたら、<ミュージック>を指定されました」

--まさしくコーネリアスをバックに山口一郎が歌っているという感じの仕上がりですが、出来上がったものを聴いた感想はいかがでした?

「僕があのリミックスをいいなと思ったポイントはいくつもあるんですけど、まずひとつとして、<さよならはエモーション><蓮の花><Ame(B)-SAKANATRIBE×ATM version->ときて、<ミュージック(Cornelius Remix)>が最後にきて終わる流れって、ものすごく綺麗だなと思ったんですね。で、ループしてアタマの曲に戻った時の繋がりも自然だった。曲として言うと、僕がつけたコード進行じゃなく、別のコード進行でメロディが再構成されてるんですよ。小山田さんにリミックスをお願いしようと思ったひとつの理由として、小山田さんが以前<赤とんぼ>のリミックスをやってたことがあって」

--やってましたね。三波春夫先生の(『CM4』収録)。

「はい。あの時の<赤とんぼ>に乗ってくる微妙なコード感にすごく感動した記憶があって。こんなことができる人にリミックスしてもらいたいって思ったのがきっかけだったんですね。その時と同じ感覚を<ミュージック>のリミックスに感じたんです」

--小山田君が言うには、コードを当てていって、それにあわせて歌メロを微妙にいじって、コーラスもバラして少しいじったと。

「音程変わってましたもんね。さすがだなと思いました。原曲とは違う良さが明らかにちゃんと醸し出てるし。原曲好きな人も絶対好きでしょう。だから僕、最近<ミュージック>はリミックスしか聴かないですよ(笑)。原曲どうだったっけ?みたいな。自分のメロディを別の人がアレンジしたらこうなるんだなっていうことがわかったんで、いつか自分の曲を違う人のアレンジで聴いてみたいなって欲が生まれましたけどね」

--自分にない視点があるってことですか。

「まったくその通りです。こんな風に言葉の聞こえ方も変わるんだって思ったし」

--今までいろんな人にリミックスを頼んでますが、やはり違いました?

「ハラカミさんに<ネイティブダンサー>のリミックスをお願いしたときに近くて。あ、こういう解釈だったんだっていう。こう(彼らには)聞こえてたんだって思えた」

--そういう作家性が出てきた方がリミックスとしては面白い。

「リミックスというよりはリアレンジって感じですね」

--また何か一緒にやったらいいんじゃないですか。

「うん、これで終わらせたくないですね」