INTERVIEW

Special Interview Vol.3 3/4

--演奏は最高なんですが、インタビューで佐々木さんが、どうやってダブ・ミックスしてるのかわかりやすく説明しているのがサカナクションらしいですね。

「ああいうのって大事だと思うんですよ。<釣りビジョン>っていう釣り専門チャンネルがあるんですよ。釣りが好きな人しか見ないんですけど、むちゃくちゃ専門的なんですよ。専門用語は飛び交うし、釣りを好きじゃない人が見ても何もわからない。最初から最後までわからないで終わるみたいな番組が平気で24時間やってるわけですよ。で、音楽専門チャンネルを見ると、音楽専門なのにチャートしかやってないんですよ。わかりやすいことしかやってない。専門的なことが一切ないんですよ。釣りチャンネルとは逆の意味で、これ見ても音楽のことなんか何もわからない。こんなの音楽専門チャンネルじゃねえだろって。だからほんとはこういうことを音楽専門チャンネルがやらなきゃいけないのに、と思いながらサニーさん(佐々木)に解説してもらいました。こういうことをミュージシャンの側から発信しないと。サンレコ(『サウンド&レコーディング・マガジン』を買わなきゃわからないようなことでも、ミュージシャンが自分のメディアでちゃんと発信することが大事だと思うんですよ」

--はい。

「ファンの人って、見たいものは”人”なんですよ。アイコンとしてミュージシャンを見たい、どんな人か知りたいんですよ。たとえば楽器の解説をミュージシャンがしていたら、楽器解説の内容よりも解説している仕草だったり、話す口調だったりに目がいくし、それを楽しむために何度も見るんですよね。でもそうするうちに、内容もいつのまにか理解して音楽に詳しくなるかもしれない。今回サニーさんにああいう風に説明してもらうことって、サカナクションだからできることだと思うんです。PAの人からするとめちゃくちゃ面白い話だと思うんですね。音楽に興味ない人からみれば”何言ってんだこれ?”ってなるかもしれないけど、ミュージシャン自身がしつこく発信し続けることで絶対のちのち効いてくるし、これが記録として残ることはものすごく大事なことだと思うんです。音楽好きをひとりでも増やすために」

--リリースされるシングルには収録されませんが、MVに関しても伺いたく思います。MVはこのインビューの時点ではまだ撮影にも入っていないんですが、MVのアイディアはメンバーから出すんですか。

「監督さんによりますけど、だいたい監督さんの出すアイディアに乗っかる感じですけどね。<さよならはエモーション>については、田中裕介さんは<バッハ~>や<夜の踊り子>をやってくださった監督さんで。田中監督で作った作品はこれまでコミカルというかキャッチーなものが多かったんですけど、今回はけっこうシリアスな曲を一緒にやるということで、面白いものになるんじゃないかなと。<蓮の花>に関しては山口保幸監督っていう<ユリイカ>や<僕と花>をやってくださった方で。山口監督とはけっこうディスカッションしながら作っていくことが多いんですけど、これも面白い作品になると思います。…リリースには間に合わないんですけど(笑)」

--プロモーションの意味がない!

「(笑)ま、それはいいかなと思って」

--MVの重要性はどう考えてます?

「誰でも最初にミュージシャンを調べる時ってYou Tubeで検索するじゃないですか。そこからの情報がほとんどすべてと言ってもいいほどで。なのですごく重要なものである反面、それが発売日に間に合わないというのもある意味で面白いんじゃないかと。聴きたいけど聴けない時間がある。それってかなり重要だと思うんです。CD買った人しか聴けない、メディアから流れてくる情報でしか知り得ない。それはむしろいいことじゃないか。一旦(MVが)流れちゃえば、ライトなユーザーはそれで満足しちゃうかもしれないし」