宮城まり子監督作品(4)
ハローキッズ! がんばれ子どもたち
1984年、ねむの木の子どもたちは、世界の障害を持つ人々の芸術祭に招かれニューヨークを訪れ、麻薬事件や殺人事件が日常茶飯事として起こるハーレムに住む子どもたちと出会う。ハーレムに住んでいるというだけで盗みの疑いをかけられ、子ども同士でもけんかの果てに殺人が起こる…。そんな中でも子どもたちは何かをしようと努力している。路上でのブレイクダンスもそのひとつだ。
その後、ハーレムの子どもたちは2週間日本に滞在し、ねむの木の子どもたちと同じカリキュラムで一緒に生活する。肌の色の違う子どもたちとのふれあいや心のやさしさ、日本の自然の美しさ、そしてダンスの特訓等を通じて“がんばれ子どもたち”と呼びかける。これは宮城まり子監督が人間への讃歌を謡いあげた他に類をみないミュージカル・ファンタジーである。
特別出演:
渡辺貞夫、宇崎竜童、藤舎推峰、瀬戸内寂聴、
ヒントン・バトル、ジェリー・ホーリンズ、アリックス・パスカル、
ルイス・ヘイズ、ジョン・ハモンド
「ラスト・シーンに近いところで宮城さんが“ねむの木学園”の上級生らしき男子にミュージカルのダンス・リズムをくりかえしくりかえし教えるところは彼女が鬼に見えた。足の骨も折れよとばかりのリズムリズムリズムの鞭だった。これまでしてまで教えこむ必要があるのであろうかとさえ思わせる。見ていて残酷にさえ見えたこの実景。しかしここにこそ実はこの映画の製作者・宮城まり子の愛の宗教を見た。」
淀川長治(映画パンフレットより)