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11月18日(日)
『風よこい』

シーン42、回らない風車を見つめるツヨシのカットだ。

なんてことなさそうなシーンだが、ポイントは「風」。どんなにお願いしても、吹かないときは吹かない。吹いてほしくないときには、大風が吹く。しかも、どんなに風があってもやっぱり風車は回らないというシーンなので、フレームの中に写っている風車以外のものはしっかり風に吹かれていないといけないという、はっきり言ってやっかいなシーン。
通常撮影では、無風の状態でも扇風機などで風を作る。風や雨など専門家がいないときは、制作部が担当する。制作部と言えば、撮影場所の手配から、お弁当の手配、宿泊の手配、移動の手配、撮影が始まると車止め、など撮影がうまく進むようにありとあらゆる事を担当する。どの部署よりも早く現場に入り、どの部署よりも遅くまで現場にいる、という撮影を支える最も重要な人々。しかし、映画のメイキングなどでよく見るように、カメラをのぞいたり、カチンコを打ったり、役者さんの衣裳メイクを直したりといったような派手な動きがなく、完全な裏方である。そんな制作部の中でも若手の加藤恭平君が、風を吹かせるという重責を担い、檜舞台に立つことになった。

とはいえ、自然の風が吹かないと人工の風が生きてこないそうで、あくまで自然の風を待つことに。照明技師の長田達也さんが一言、「『春よこい』じゃなくて『風よこい』だな」。そんなことを言ってる間に、しばらくすると音を立てて風が吹いてくる。加藤君が作ったサポートの風もうまくいき、無事撮影終了。ツヨシ役の小清水君が「風車に表情があったみたいだ」。

 
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