80年代は毎年夏になると化粧品メーカーのサマー・キャンペーン合戦が繰り広げられていた。作詞家として僕も何度かキャスティングしていただいて、例えば浅香唯の『C-Girl』はコーセーだし、資生堂では細野晴臣さんの作曲で早瀬優香子が歌った『椿姫の夏』という作品を書かせていただいた。そして20年の時が経ち、産業再生機構の支援を受け化粧品部門が独立したカネボウの、1984年のキャンペーン・ソングがこの『君たちキゥイ・パパイア・マンゴーだね』である。

インタビューで話が出ると、「ほんとは『君たち大葉・蓮根・ラディッシュだね』にするつもりだったんだ」と言ったりするが、もちろん『君たちキゥイ・パパイア・マンゴーだね』は、CMのキャッチとして最初からあったものだ。それを歌詞としてどう成立させるかが問題だったわけだが、果たして“渚にフルーツ模様の水着嬢が犇(ひし)めき合っている”、そんな情景を描いてみた次第である。


気づけばこの曲が、アルバム中最古の作品となる。中原めいこの作るメロディーは、当時からポップスの王道としてタイムレスな魅力があった。だから22年!経った今でも古さを感じさせないのではないだろうか。

特に今回トラックを作ってくれたMansfieldが、Clubで今流れても違和感のないCoolな夏を演出してくれたと思う。

そして何と言ってもSo cuteなBONNIE PINKの歌声。誘っているのに誘われない、焦らし上手なゴーイング・マイ・ウェイ、魅惑の21世紀型天女の出現である。

そう、このアルバムにおいて後悔があるとすればたったひとつ。一身上の都合でヴォーカル・ダビングに行けず、BONNIE PINKに逢えなかったことである。