さて、ここまでライナーノーツを書いてきて、何だかちょっと人生を回顧してしまったような気がしている。気恥ずかしいことではあるが、歌の解説をしていただけなのに自分の過去と混ざるのは、詩を託したアーティスト達とちゃんと付き合ってきたからだと、そこだけは胸を張りたい。


プロとしてのデビューは76年だが、その音楽人生は高校の仲間と組んでいた『南無(ナム)』というバンドから始まっている。

今回ボーナス・トラックとして収録した『熟したトマト』は、解散を機に自主制作した5曲入りのコンパクト盤(33rpmの17cmレコード)に収められていた曲。伝説のプログレッシブ・ロックバンド『四人囃子』結成前の森園勝敏と岡井大二がゲストで参加していることもあってか、ヤフー・オークションで「求む!10万円で」と値がついた幻の一品である。

当時100枚しかプレスできず、学校中を売り歩いたので、実は少し前まで僕自身の手元にもなかった。同期会で「昔のレコードまだ持ってる人いたら、買い取りたいで〜す!」と叫んだら、ホントに女性はエライ!、就職や結婚で引越しもしただろうに、二人の女友達が「あるわよ、森くん」と応えてくれて、今回CDとして甦った次第である。


桑田佳祐とギターで遊ぶと盛り上がる。「やっぱり『熟したトマト』が雪之丞さんの最高傑作だよね」って、それはないだろ、ケイちゃん!...17才ん時の作品なんだから(笑)