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BUCK-TICK 2022-23 | DEBUT 35TH ANNIVERSARY YEARBUCK-TICK 2022-23 DEBUT 35TH ANNIVERSARY YEAR Special Site

BUCK-TICK 2022-23
DEBUT 35TH ANNIVERSARY YEAR

HISTORY

2002-2006

01

提供:(株)ソニー・ミュージックレーベルズ

この時期はBUCK-TICKにとって、第二の転換期だったように思う。
2002年3月6日にリリースしたアルバム『極東 I LOVE YOU』の制作は、当初これまでのアルバムとは少し違った着想からスタートしていた。もともとこのタイミングで2枚のCDを出す予定で、そのうちの1枚を5曲入り程度のより実験的な作品にしようと試みていた。しかし、曲を作っていくうちに分ける必要性が感じなくなったため、2枚組にする案があがったが、最終的に1枚ずつわけてリリースすることにしたという。今井が思い描いていたアルバムイメージは、ボーカル、ギター、ベース、ドラムによるバンド然としたサウンドメイクではなく、アコースティックギターのような有機的なものと、ノイズや電子音が融合されたエレクトロニカなもの。集めた環境音からノイズを作るなど、電子音をアコースティックに聴かせるような手触りを目指した。また、今作ではレコーディング・エンジニアに比留間整氏と、新たに南石聡巳氏を加えた。「WARP DAY」や「Long Distance Call」など、アコースティックサウンドの強いナンバーを比留間氏が、「疾風のブレードランナー」や「極東より愛を込めて」など主にエッジの効いたナンバーを南石氏が担当。1枚の中で2人のカラーが色濃く出た作品になった。

歌詞のほとんどは、2001年9月に起こったニューヨーク同時多発テロ以降に書かれたため、その影響は少なからず受けただろう。制作に入る直前に起こったこの事件について、櫻井が最初に感じたのは「無力感」だったと言う。自分が今やるべきことは何だろうか、自分自身に潔くありたいという思いは、先行シングルとして2月20日にリリースした「極東より愛を込めて」の歌詞に特に顕著に表れている。“極東”という言葉が浮かんだのには、前年のSCHWEINで海外アーティストと活動したり、韓国でライブを行なったことにより、自分が居る場所を再認識したことにある。その“極東”というキャッチーな言葉に、“希望”や“愛”を込めてアルバムタイトルを『極東 I LOVE YOU』と今井が名付けた。

全国ツアーはアルバムのイメージの核になった楽曲「WARP DAYS」を冠し、4月からスタート。ツアーの合間に開催したファンクラブ会員限定ライブ「FISH TANKer's ONLY 2002」(5月31日神奈川・CLUB CITTA'川崎)や、「WARP DAYS -AFTER DARK-」と題した3本のスタンディングライブでは、本ツアーとはまた違った形で魅了。そして、ツアーファイナルである6月16日東京ベイNKホール公演は、星野の誕生日というスペシャルデーも重なり、大いに盛り上がった。その模様は12月発売のVHS&DVD「BUCK-TICK TOUR 2002 WARP DAYS 20020616 BAY NK HALL」に収録された。

ツアーを終えると、また次の作品の制作に意欲を燃やしたBUCK-TICKだったが、この2002年はメジャーデビュー15周年の年でもあった。バンドとしては特にそれを意識した活動はなかったが、3月にはこれまでのPVやライブ・インタビュー、メイキング映像などを集めた5枚組の映像作品アーカイブス『BUCK-TICK PICTURE PRODUCT』が、そして9月には『SEXUAL×××××!』から『COSMOS』まで、ビクター時代の10枚のアルバムのリマスター盤がリリースされ、唯一無二の際立った特異性を改めて世に知らしめた。12月29日に日本武道館で行なわれた2度目の「THE DAY IN QUESTION 2002」では、1stアルバム『SEXUAL×××××!』のタイトル曲「SEXUAL×××××!」で華々しく幕を開け、15年の軌跡を網羅するような内容でアニバーサリーイヤーを締めくくった。

02

提供:(株)ソニー・ミュージックレーベルズ

2003年は、前年に着々と制作を進めていたアルバムの先行シングル「残骸」のリリース(1月8日)から幕開けた。1月24日の樋口のバースデーには、「残骸」購入者を対象とした限定ライブ「Secret Live at SHIBUYA-AX」を開催。シークレットライブという貴重な公演に応募者が殺到した。そして2月13日にリリースしたアルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』は、先述したとおり同時期に作られた楽曲が『極東 I LOVE YOU』と『Mona Lisa OVERDRIVE』の2枚に分けられる予定だったが、実際のところ『極東 I LOVE YOU』から漏れた楽曲の多くは捨ててしまい、新たに楽曲を揃えることになった。アルバムのイメージは、『極東 I LOVE YOU』をよりエレクトリックにしたもの。言わば、今井の脳とコンピュータを直接繋いで音にしていくようなイメージだ。メロディを際立たせ、歌を聴かせるアルバムだった『極東 I LOVE YOU』に対し、『Mona Lisa OVERDRIVE』は太さや激しさ、わかりやすく攻撃性のある楽曲作りを目指した。樋口は「ロックンロールなアルバムにしたい、というところから始まった」と当時語っていた。メロウな楽曲に定評のある星野も、今作では「BLACK CHERRY」「MONSTER」とアグレッシヴなナンバーを収録している。また、特筆すべきは全12曲中、今井の作詞曲が6曲と過去最多であること。初期衝動を呼び起こすようなサウンドに引っ張られるように、櫻井の歌詞もより自然体で生々しくなった。面白い試みとして、『Mona Lisa OVERDRIVE』の1曲目に収録された「ナカユビ」は、『極東 I LOVE YOU』の最後の曲「Continue」のヤガミのドラムのキック音や、メロディをそのまま使って再構築された。また、『Mona Lisa OVERDRIVE』の最後のSE「Continuous」は『極東I LOVE YOU』の1曲目「疾風のブレードランナー」に繋がるSEになっていて、『極東 I LOVE YOU』と『Mona Lisa OVERDRIVE』は、LOOPする2枚の作品として話題を集めた。

2003年上半期は、全17公演のホールツアー「Mona Lisa OVERDRIVE TOUR」、東京・大阪でのFCライブ「FISH TANKer's ONLY 2003」、全6公演のスタンディングツアー「Tour Here we go again!」とライブ三昧の日々。6月には結成18年にして初の東京・日比谷野外大音楽堂での2days「Mona Lisa OVERDRIVE-XANADU-」を開催した。初日公演は6月の雨に見舞われ、設営が遅れてしまったため、開演が30分以上遅れてしまった。そのため予定していたアンコールを削ることになり、そこで急遽新曲の「幻想の花」を1曲披露。「幻想の花」は『極東 I LOVE YOU』と同タイミングでレコーディングされていたが、この野音ライブで披露した後に歌詞を書き直し、12月3日にシングルとしてリリースした。

また、SCHWEIN以降ということもあり、海外アーティストと共演する機会を求めていたメンバーにとって、この年好機が訪れた。開催4年目の「SUMMER SONIC 03」に初参加、マリリン・マンソンのジャパンツアーにオープニング・アクトとして出演が決定した。どちらのステージでも堂々たる佇まいで、洋楽ファンをも圧倒するパフォーマンスを観せた。特にマリリン・マンソン公演では、ラストソングの「Mona Lisa」の後、“BTライト”というストロボを用い、強烈な光で煙に巻くエンディングで大きなインパクトを与えた。

この年の年末恒例、日本武道館公演は異なるメニューで12月28日、12月29日の2日間にわたり「THE DAY IN QUESTION」を開催。この日以降、BUCK-TICKの活動はしばらく止まることになる。

2004年4月に、2003年に開催したライブ音源を収録したライブアルバム『at the night side』と、ドキュメンタリー映像をDVD化した「at the night side」をリリースした後、メンバーはそれぞれ初のソロ活動に入った。その先陣を切ったのは櫻井敦司。5月にリリースしたTHE MISSIONのウエイン・ハッセイ作曲の「SACRIFICE」でソロデビュー。6月には国内外のアーティストとのコラボレーションによるアルバム『愛の惑星』を、7月にはシングル「胎児/SMELL」をリリースし、東京・NHKホールにて初のソロ・ライブを行なった。さらに8月にはショートムービー「LONGINUS」で初主演を果たし、話題を集めた。

今井寿はKiyoshi(G&Vo)、岡崎達成(Dr)と、“ロケンロール”をテーマにしたバンド・Lucyを結成。6月9日“ロックの日”に1stアルバム『ROCKAROLLICA』をリリース。同月18日よりライブツアー「Lucy Show」を開催した。ヤガミ・トールはYagami Toll & The Blue Skyを結成し、7月にCD「1977/BLUE SKY」をリリース。樋口豊は群馬の先輩にあたるROGUEの奥野敦士とユニット・Wild Wise Apesを結成し、7月にアルバム『3rd World』をリリースと、メンバーが次々ソロ活動を展開していくも、星野英彦は不動の姿勢。水面下では始動に向けて動いていたが、このタイミングではなかった、ということだったそうだ。

03

約9カ月ぶりにメンバーが集結したのは、9月11日に神奈川・横浜アリーナで開催された「悪魔とフロイト -Devil and Freud- Climax Together」公演。1992年に同日同会場で行なった「Climax Together」より12年ぶりの開催である。奇しくもニューヨーク同時多発テロが起こった日と同じ9月11日。その熱が観客にも届くほど大きな火柱があがった「極東より愛を込めて」や、「楽園」の曲中での「武器を捨てろ」のメッセージは、そうした世相に訴えかけるものがあった。2度目のアンコールでは櫻井の提案で1分間の黙祷が捧げられた。そして「COSMOS」のエンディングでスクリーンに映したのは、「すべての亡骸に花を すべての命に歌を」というメッセージ。彼らが歌い続けることへの今の思いを映しているようで、この日の感動と共に強い印象を残した。

04

提供:(株)ソニー・ミュージックレーベルズ

それぞれのソロ活動で吸収したものをバンドにフィードバックすべく、「悪魔とフロイト -Devil and Freud- Climax Together」公演を終えると、次作の制作に入った。次の方向性はバンド・サウンドだと「Mona Lisa OVERDRIVE TOUR」の頃に考えていた今井は、櫻井のソロライブを観て“シアトリカルなもの”“ゴシックなもの”というコンセプトを確信したという。そのイメージは“箱バンが、ゴシックな音を出す佇まい”だった。櫻井の詩世界も徹底して暗闇を突き詰めた。途中、年末の東名阪「THE DAY IN QUESTION」ツアーを挟み、明けた2005年1月2日からレコーディングを再開させ、コンセプチュアルなアルバム『十三階は月光』(4月6日リリース)が完成した。先行シングル「ROMANCE」(3月2日リリース)のジャケットから起用したデザイナー・秋田和徳氏の世界観は、「ROMANCE」のMVや4月10日からスタートしたツアー「13th FLOOR WITH MOONSHINE」の舞台演出でも再現された。様々なタイプの楽曲を歌った自身のソロ活動を振り返って、「もっと徹してやればよかった」という思いを残した櫻井にとって、このゴシックでファンタジックな世界観の舞台は本領発揮できる場所。ダイヤ柄の床に大きなシャンデリアや深紅色の階段、ジャグリングをするクラウンや、バレリーナが軽やかに舞うステージで、歌とその歌を全身で表現するパフォーマンスで圧倒的な存在感を見せつけた。

05

2005年下半期に入ると、結成20周年を祝う企画がスタート。まず11月にフィルムコンサート「FILM PRODUCT」を東名阪で開催。デビュー前から『十三階は月光』までのライブ映像や、最新のインタビューなど、貴重な映像の数々に、会場では爆笑が沸き起こったり、感動に包まれたりと大好評。12月7日には初のメンバーセレクトによるベストアルバム『CATALOGUE 2005』をリリース。同日、横浜BLITZから20年の歴史を網羅するスタンディングツアー「2005 TOUR DIANA」がスタートした。さらに12月21日には初のトリビュートアルバム『PARADE〜RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK〜』をリリース。今作には清春やJ(LUNA SEA)ら後輩ミュージシャンや、BUCK-TICKに影響を与えた遠藤ミチロウ、土屋昌巳ら先輩ミュージシャンらが参加。この時代に現役のアーティストのトリビュートアルバムが制作されることは珍しかったが、BUCK-TICKならではの豪華さと幅広いラインナップでBUCK-TICK結成20周年を彩った。12月29日の日本武道館公演「THE DAY IN QUESTION」では、トリビュート参加アーティストへの感謝の気持ちを込め、トリビュート盤に収録された楽曲を全曲メニューに取り込んだ。

2006年に入ると、今井はまたLucyを再開。3月にシングル「BULLETS-Shooting Super Star-」を、4月に2ndアルバム『ROCKAROLLICA Ⅱ』をリリースすると、5月からライブツアー「Lucy Show 002」をスタートさせた。他のメンバーはゆっくりと休暇を楽しむ中で、星野と樋口は7月に、FAKE?のアルバム『MARILYN IS A BUBBLE』(11月22日リリース)収録の「TURTLEDOVE(introducing THE GLOW ROOM)」のレコーディングに参加した。

06

提供:(株)ソニー・ミュージックレーベルズ

メンバーが久々に顔を揃えたのは、新曲に向けた打ち合わせの時だった。これまで既存曲にタイアップがつくことはあったが、今回はテレビアニメ『XXXHOLiC』のエンディングテーマのために書き下ろすという。 BUCK-TICKがタイアップが決まってから楽曲を制作するのは「JUST ONE MORE KISS」以来のこと。『XXXHOLiC』というしっかりしたテーマがあったことから、最初の打ち合わせの時点で今井はデモを作り上げていた。歌詞については“前向きなものを”というオーダーがあったそうだ。アニメの世界に寄り添う形で完成したのがシングル「蜉蝣-かげろう-」(8月2日)。和風な情感が息づくロマンチックな作品に仕上がった。

夏には大型フェス「SUMMER SONIC 06」に2度目の出演。勢いのあるキャッチーなナンバーで挑んだ1度目に比べ、今回は新曲の「蜉蝣-かげろう-」や「ノクターン -Rain Song-」など、どっぷりとしたダークでミディアムなナンバーをラインナップするという、かなり攻めた内容でその存在感を遺憾なく発揮した。9月に東名阪でファンクラブ会員限定ライブ「FISH TANKer's ONLY 2006」を開催。11月には次作のレコーディングに入りつつ、年末の「THE DAY IN QUESTION」は仙台、神戸と日本武道館の3カ所で開催。その一方で、来る2007年のデビュー20周年に向けて、着々と準備が進められていた。

Text:大窪由香

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