【Sax】
リオ・デ・ジャネイロの太陽が育てたカリオカ娘(カリオカとはリオ・デ・ジャネイロ人のこと、サン・パウロ人はパウリスタと呼ぶ)、新人サックス奏者のDaniela Spielmannをここに御紹介します。
彼女の音楽はブラジルの伝統的音楽ショーロ、ショリーニョを基本に、フレボ、マラカトゥ、サンバ等のブラジルの伝統的なリズムの上に成り立っています。
1970年生まれ、現在30才になったばかりの彼女はその持ち前の明るさと茶目っ気でリオのミュージシャン仲間には人気の存在です。ダニエラの祖父は第二次世界大戦中にナチの迫害を逃れる為ブラジルに移住したポーランド系ジューイッシュでした。そしてその祖父から数えてサード・ジェネレーションの彼女は、ブラジルを愛し、その歴史を大学で学び、そして21才の時にサックスを吹き始めました。まだ演奏者としては経験の少ない彼女の初めてのソロ・アルバムと聞き、リオの名手が集まったこのアルバムは、インストルメンタル・ミュージックという難しい響を越えた楽しさがいっぱい詰まっています。レコーディングは全曲2000年8月にリオで、トラック・ダウンはニューヨークで行われました。彼女はジャズを非常に愛していますが、彼女自身は必ずしも我々の考えるようなジャズ・ミュージシャンではありません。なぜなら彼女の音楽や楽器演奏に最も大きく影響を与えたのは、ショーロに於けるクラリネットやフルートといった基本楽器で、彼女はインプロビゼーションよりもそれらブラジリアン・クラシックと呼ばれるような音楽のリズムとメロディーを演奏してきたからです。しかし彼女はクラリネットは吹きません。彼女いわく「クラリネットはみんながやってるからいや」とのことです。そう言った意味では彼女は変わっているでしょう。なぜなら現在でも脈々と息づくこれらブラジリアン・クラシックのミュージシャン達は、どちらかというと伝統に固執しがちな頭の固い連中が多いからです。彼女はその伝統的な音楽に新しい風を送り込むビーナスなのかも知れません。
現在ブラジルの国営放送、TVグローボの人気番組にサックス奏者として出演する彼女は、本国でも次第に注目の存在として浮かび上がってきています。新しい時代の女性ブラジリアン・プレイヤーとして大いに注目したい存在です。
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